Babylon5 #61

#61 War without End, Part 2

粗筋

Babylon4に潜入した一行は二手に分かれるが、 IvanovaがBabylon4の警備班に見つかってしまう。 しかしMarcusが彼らを気絶させ、Ivanovaは壁のパネルを操作して 気密ドアで付近を遮断して、通路を確保する。 Babylon4の司令室では、Krantz少佐がなんとか事態を把握しようと努力していた。

未来のMollari皇帝の前に引きずりだされたSheridanは、 彼に「これがおまえの起こした戦争の結末だ!」と 荒廃したCentauriの首都の様子を見せられる。 対Shadow戦争の開始から17年が過ぎており、 CentauriはShadowの勢力の残党によって完全に破壊されていた。 処刑を示唆するLondoの発言の後、Sheridanは地下牢に放り込まれた。
まもなく、もう一人が同じ牢に引き立てられた。
それはDelennで、彼女はSheridanに気づいてキスをし、 「Londoが最後の情けであなたに会わせてくれた、愛している。」 さらに「息子のDavidは安全な場所にいる。」と言った。
自分がこの時代の人間ではなく、過去から来た、と説明する彼に、 彼女は、「昔この出会いの事を話してくれたが、その時は信じていなかった。 あなたの目には失われてしまった誠実さがある。」と言い、 「Shadowとの戦争には勝ったが、恐ろしい代償を払った。
けれども自分たちは次の1000年持ちこたえられる礎を作った」と説明する。
間もなく二人はLondoの前に再び連れてこられるが、 彼の態度は一変していた。 彼の肩の上には彼が「やつ」という 寄生体が乗っており、Londoが大量の酒を飲んで酔った時のみ「やつ」は眠って 彼は自分の意志で行動できるのだった。 彼は二人に、「やつ」が眠っているうちに用意したシャトルで早く逃げるように、といい、 彼らの勢力を率いてCentauriの民を開放してくれるように依頼する。
二人が去った後、Londoの元に片目になったG'Karが現れる。 Londoは彼を、「旧友よ」と呼び、「やつ」が目を醒ます前に自分を殺すように頼む。 しかし、G'KarがLondoの首をしめている最中に「やつ」はその目を開け、 LondoもG'Karの首をしめ、二人とも息絶える。 やがて別の人物がそっと入ってきて、 床に倒れた二人を見下ろし、 Londoが身に付けていた皇帝の胸飾りを床から拾い上げる。 それはVirだった。
SheridanはDelennと脱出シャトルへ向かう途中で 過去に引き戻され、消える寸前にDelennから、 「今を精一杯生きて。Z'ha'dumへは決して行かないで。」と懇願される。

Babylon4ではZathrasが宇宙服のバッテリーを使ってスタビライザーを作動させ、 それによって、Sheridanは現在に戻ってきた。 飛びついて何があったかを尋ねるDelennに、彼は「後でゆっくり話す」と答える。
SinclairとSheridanは宇宙服を着て、Babylon4外部の動力部に向かうが、 時間移動装置の暴走でBabylon4は4年後(「現在」からすると2年前)に飛ばされ、 Sheridanは再び消える。
Babylon4の司令部では、Krantzが部下に救難信号を送るように命じた。

Delennが再びWhiteStarからBabylon4に戻ったとき、 タイムフラッシュが彼女を襲い、一瞬の間に彼女は未来を見る。
彼女はSheridanの私室に立っており、彼はベッドで眠っている。 彼の机の上のSnowglobeを彼女が取り上げ、物思いにふけりながら眺めている時、 ドアが開いて「今日は」と女の声がし、 DelennはSnowglobeを取り落として、それは床で砕け散った。
気が付くと彼女は元のBabylon4に居た。

やがてBabylon4内部に戻ってきたSinclairの髪は白くなっていた。 驚くIvanovaに彼は、「時間を何度も超えた者はいずれこうなる、 これを恐れてGaribardiを連れてこなかったのだ。」と言う。 彼はDelennらにWhiteStarに戻って装置を安定化させるように言う。

やがてBabylon4の救難信号に答えて、Babylon5から「過去の」SinclairとGaribaldiが 救助にやってきた。 Zathrasはスタビライザーの修理をしているうちに警備班に捕まってしまい、 連行されて丁度やってきたSinclairらに引き会わされる。 彼はSinclairを見てびっくりするが、彼からの注意を思い出して 肝心の事には口をつぐむ。
WhiteStarのDelennは、何かを感じて再びBabylon4に入った。 そのとき廊下の隅に再び宇宙服の人物の姿が現れた。 そのころ中央通路では、宇宙服姿の謎の人物の姿が現れ、 Krantzといっしょに駆けつけたSinclairはその人物の伸ばした手に触ろうとして 不思議な力によって後ろに弾き飛ばされる。 彼らを追ってその場に来たZathrasが、 これが「その人」といって、修理の済んだスタビライザーを渡すと、 謎の人物は姿を消した。
そうこうするうちIvanovaはBabylon4の核融合炉が暴走しかかっているという 偽の信号を送って、Babylon4の要員らを退避させる事に成功する。 彼女は司令部からシステムを制御し、時空移動装置は安定した。

通路の角に、再びSheridanが現れたのをMarcusが見つけるが、 今度は彼は自分がどこを彷徨っていたのか記憶がない。 Marcusは中央通路に現れたのが彼だと思っていたので、「それではあれは誰だ?」 と戸惑う。

過去のSinclairらがBabylon4から退避する途中に、 Zathrasに大きな柱が倒れかかり、彼はその下敷きになった。 助けようとするSinclairにZathrasは 「早く行け、おまえには運命がある。」といい、 それに従ってSinclairらはBabylon4を脱出する。
彼らがBabylon4から遠ざかるのを外で宇宙服を着て見守っていたSinclairは Garibaldiに向かって「背中に気をつけろ」と警告を送ったが、通信は届かなかった。

下敷きになっているZathrasの横に宇宙服の人物が現れ、彼は 「あなたが見捨てないと判っていた、『その人』を信じていた」という。 ヘルメットを取って現れたのは、Delennだった。

エアロックの中でヘルメットを取ったSinclairは、 「警告しようとしたが、全ては記憶の通りになってしまった。」という。 それに対してDelennが傍に立って、 「解っているわ。もう時間です、行かなくては。彼らが待っているわ。」と答えた。

二人は司令室で他のメンバーと合流し、Ivanovaは時空移動装置は正常に作動している、 と報告した。 Sinclairは、「他の者は先にWhiteStarに行ってくれ、私はここで装置をセットする」 と言うが、Marcusは移動装置は自動操縦でなく、Sinclairは過去に行けば戻って来れない と指摘し、それなら自分が操縦すると主張する。 対してSinclairは、これが自分の運命だといい、過去からの手紙を示す。 それは過去に行った彼自身からのもので、Delennも同様の手紙を 受け取っていた。なおもIvanovaが反対するのをSinclairは制し、 彼女とMarcusを先にWhiteStarに戻して、Delenn, Sheridan, そしてZathrasの 4人だけが残る。
SinclairはZathrasに、「その人」とは誰の事を指していたのか尋ねると、 彼は「あなた方3人がそれぞれ『その人』だ、Sinclairは過去の、 Delennは現在の、そしてSheridanは未来の『その人』だ。」という。

やがてWhiteStarに戻ったSheridanとDelennは、Ivanovaらに出発を命じた。 時空の裂け目を通り抜け、現在に戻ったWhiteStarの後ろで裂け目は閉じ、 過去への扉は閉ざされた。 Delennは彼女が変身するのに使った装置は1000年前から伝えられたもので、 「我々の祖先は、もし新しい基地をもたらしたのが異星人だったら、 決してそれを受け入れなかったでしょう」といい、 SinclairがMinbari人に変身する事を示唆する。 実は彼こそが、「Minbari生まれではないMinbari人」と呼ばれるValenその人だった。

過去へ向かうBabylon4の中で、Sinclairは変身装置を作動させ、 彼は繭に包まれていった。 目を閉じた彼は過去の幾つかのシーンを回想する。

時は1000年前、突然現れたBabylon4に、二人のMinbari人が入ってきた。 彼らは中央通路でZathrasに迎えられ、ドッキングベイに案内される。 そこで彼らが見たのは、一人のMinbari人が二人のValeria (Minbari人の眼に映るVorlonの姿)に伴なわれている光景だった。 彼は、「私の名はValen, この場所は君たちへの贈り物だ。 やるべき事がたくさんある。」と言った。


印象に残ったシーン、台詞

Sheridanが17年後のDelennと牢獄で再開するシーンと、 Delennのタイムフラッシュでの彼女がSheridanのベッドの横で佇み Snowgloveを眺めるシーンは、 このシリーズを通して屈指の名場面だろう。

また、LondoとG'Karが倒れている所に、Virが現れてEyeを拾い上げる場面も印象的。 Lady Morellaの予言は実現した。 Virはどんな思いでEyeを拾い上げたのだろうか。


Memo

DelennがWhite StarからBabylon4への通路に半分身を乗り出したときに、 廊下の隅の宇宙服が動いたシーンの直後の (描かれていない)Delennの行動が謎だ。 その直前、彼女は何かの虫の知らせを感じて White StarのChaptain's Chairから立ち上がって出て行った。 それが宇宙服の中の、Sheridan, Delenn, Sinclairの入れ替わりと、 Sheridanの新しいタイムスタビライザーが どこから来たかという問題に関係しているようだ。

17年後のDelennの言葉から、 彼女とSheridanの将来に関して幾つかの推測が得られる。 「あなたの瞳には、失われてしまった誠実さがある。」という言葉は、 Sheridanが将来彼女を裏切る事を示唆しているのでは。 それが、二人の息子のDavidが「(危険から)守られている」という言葉と 関係しているのだろう。 この設定は、SWでのアナキン(ダースベーダー)と アミダラとの関係を思わせる。 しかし一方で、Zathrasによる「Sheridanは未来の『その人』」 という言葉からすると、 Sheridanが将来的に悪の側に落ちていく事は想定しにくい。 Zathrasの「Sinclarは物語の始まり、Delennは真中、Sheridanは結末、 そしてそれは次の壮大な物語に続く」という言葉は 「指輪物語」を思わせるが、 また作者自身の構想の一端を覗かせたものだろう。

もう一度観返したところ、 Davidに言及しているくだりはこちらの誤解かも しれない。 DelennはSheridanに対して、 「あなたが居なくてもDavidは安全よ。」 と言っているようだ。 そうならばむしろ、17年後の未来では、 Sheridanは死んでいる可能性もある。 しかしこれもまた、Zathrasの言葉とは符合しない。

1000年前のBabylon4でのシーンでValenといっしょに居た二人のVorlon人は、 前話でMinbariに居たVorlon人とKoshだろうか? 環境スーツのうちの一方は前者のそれと一致している。

SinclairがValenに変わるために使った装置Triluminaryは、 Delennから渡されたものだろうか? Delennは、自分の使った装置が1000年前から伝えられたものだと言っていた。 そうなら、その装置自身もタイムループに嵌まっていることになる。 これと同様の問題は、Valenの名前にもある。

DelennはValenの正体がSinclairである事をどの時点で知ったのだろうか。 Sinclairを捕らえて尋問した時点で、 彼の魂がValenの物である事は判っていたが、 この時点では、SinclairはValenの生まれ変わりだ、という解釈だった。 実は逆で、Sinclairが将来過去に戻ってValenとなる、 という事を最終的に確信したのは、 恐らく彼からの手紙を受け取った時点だろう。 しかし、その前のどの時点で気がついたのだろうか?

SinclairがTriluminaryによってValenに変わったという事になると、 "Points of Departure"で Lennierが説明した、 Minbariの魂が地球人に生まれ変わっていた、 という解釈は正しいのかどうか。
また、この時の説明では、Minbariの魂が地球人に生まれ変わり始めたのは 3000年前から、と言っていた。 大戦争が1000年前だから、それよりかなり以前になるが、つじつまは合うのだろうか?

この話におけるBabylon4での出来事と、 "Babylon Squared"でのそれとは非常に整合しているように見えるが、 いくつかずれている点がある。 "Babylon Squared"ではZathrasは閃光と共に突然会議室に現われた、 とKrantzは説明しているが、 こちらでは実験室で保安部員に捕まっている。 また"Babylon Squared"で宇宙服姿のSinclairの肩に手をかけたDelennの服は だったが、 この話でのDelennの服は青だった。

17年後のCentauri王宮の牢獄にDelennが連れてこられたとき、 現在のDelennは何らかの虫の知らせを感じていた。 17年という時間を超えて、彼女は未来の自分と感応していた。

Sheridanは、今回未来のDelennに「愛している」と言われ、 さらに二人の間に息子が生まれている事を知った事によって 最終的に彼女が本当に自分を愛していると確信したのだと思う。

1000年前の過去へ向かうBabylon4の中でSinclairが回想していたのは、 #2 "Soul Hunter"でのSoulHunterが 「おまえは(Delennに)利用されているんだぞ!」 と言われるシーンと、 助けられたDelennが「思った通りの人ね、あなたは」と言うシーン、 それに#17 "Legacy"でNeroonに「あなたはMinbari人のようだ」といわれる シーンである。

Sinclairが過去を変えてしまう危険を冒してまでGaribaldiに 暗殺未遂事件の警告を 送ろうとしたのはなぜか? 恐らく前回、二度と会えない事を知りながら 彼に会わずに別れてしまった事に対して 心の奥底では悔やんでおり、それがこの行動につながったのだろう。
しかしメッセージは届かず、過去は変えられなかった。 Delennへの述懐は、"Babylon4事件"全体に対するものではなく、 むしろこの件に関するものだろう。


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