Babylon5 #67

#67 The Hour of the Wolf

粗筋

SheridanがZ'ha'dumで消息を絶ち、Garibaldiも行方不明となってから一週間が経過した。 残されたIvanovaは自分を責め、悔み続けて眠れない夜を過ごす。 LondoはCentauri本星に皇帝の相談役として呼び戻され、 DelennはSheridanの帰還を信じて、絶食して祈り続けている。

Ivanovaは非同盟惑星諸国の大使たちに、 弱体化したShadowを倒すために直接Z'ha'dumに艦隊を送り込むように求めるが、 彼らはそれを拒否し、かえってBabylon5を防衛している艦船まで本国へ戻すと言い出した。 DelennやLennier, さらにG'Karは彼らを説得しようと試みるが、 彼らはSheridanはZ'ha'dumで死んだという噂を持ち出し、 四人を置き去りにして会議場を出て行ってしまう。 DelennはKoshがこの場に姿を見せない事に不信感を募らせ、直接彼と話し合おうと決意する。

Londoは皇帝Cartagiaの謁見を受けた。 Londoの知っていたCartagiaは愚かな不良少年だったが、皇帝になってもその振る舞いは 変わっていなかった。 しかし今では、周囲の廷臣たちは彼に唯々諾々と従っていた。 皇帝は、彼を呼び寄せた理由は 彼が異種族との交渉経験が豊富で大局観を持っているためと、 もう一つ、ある人物からの推薦があったからだと言い、 その人物が彼を訪ねてくる、と言った。

Babylon5では、VirがIvanovaに彼が入手したZ'ha'dumでの出来事の詳細について知らせていた。 Sheridanは自らを犠牲にしてShadowの最大都市を破壊し、 Shadowは大混乱に陥ったが彼の生存は絶望的と聞いて、 Ivanovaの表情はさらに硬くなる。

Londoが宮殿の自室に戻ると、聞き覚えのある声が彼を迎え、 かさぶたに覆われた顔に化したMordenがそこに座っていた。 彼は爆心地から離れていたため、何とかこの姿で生き残ったと語る。 LondoがSheridanの消息を尋ねると、 「どの?よくこう言うでしょう、奢れるものは久しからず、って。 一人見れば、全てのSheridanが分かる。 パタンパタン、皆一緒に倒れよう。」 という返事だった。 そしてLondoに、自分に代わって彼がShadowとのパイプ役になるようにと言う。 Londoは拒否するが、Mordenは皇帝からCentauri本星の一部を Shadow艦隊の隠れ家として借り受けたという。

Lytaを伴って庭園に現れたKoshに対し、Delennは彼が会議の場に姿を見せず、 同盟の分解を見過ごした事を責めた。 そして噂は真実なのか尋ねる。 彼は肯定し、さらに彼女がなぜ捜索船を出さないのか問うと、 「無関係だ、彼は予期せぬ扉を開けた。 我々の出来る事をするのみだ。」と答える。 かっとなったDelennは、「彼をこのまま見捨てるなら 私はあなたをもう尊敬しない。」と言い放つが、 彼の返事は「尊敬は無関係だ」だった。 Koshが去った後、LytaはDelennに役に立てない事を詫びた。

ZackはGaribaldiの私室のドアが開いているのを発見し、 中を覗いてみた。 そこに居たのはGaribaldiの帽子を被ったG'Karで、 皆がSheridanの消息ばかり気にしてGaribaldiの事を忘れていると嘆き、 恩義のある彼を自分が探しに行く事をZackに宣言した。

皇帝の命令で大臣に呼ばれて他の廷臣たちと共に宮殿の庭に出たLondoが見たのは、 彼が嘗て見た 夢の光景、空を次々と通過するShadow艦隊、だった。 呆然とした彼は急いで皇帝のもとへ走っていくと、 Cartagiaは上機嫌でその光景に見入っており、 窓から離れるように言ったLondoの喉首に衛兵の剣が突きつけられた。 CartagiaはLondoに、身の程をわきまえろ、と言い、 Shadowを呼び寄せたのは彼らの力を借りて自分も彼らと同様の「神」になるためで、 そのためには何百万の国民が犠牲になってもかまわない、と言い放った。 ショックで謁見の間をよろめき出たLondoは大臣に 「狂っている、あいつは化け物だ」と訴えるが、 大臣は、彼に逆らえば皆殺されるから黙っていろ、と答えた。

Koshの部屋で、Lytaはマスクなしで彼のスーツと向き合い、 彼女の目と口からエネルギーリボンがKoshのスーツの中に伸びていた。 リボンの中を流れる脈動が早くなり、やがてリボンは消える。 LytaはKoshに「他にどこか連れて行って欲しい所は?」と尋ねると、 彼はもうない、と言った。 彼女は彼に、「以前(旧)Koshを迎え入れた時と違い、 何か暗いものを感じる。何かを隠しているのでは。」と言ったが、 Koshは彼女を追い払った。

夜中にCartagia皇帝は秘密の部屋の中で、彼を諌めて殺された人たちの首を並べた テーブルの前に立ち、上機嫌で今日の出来事の報告をしていた。

夜中にLytaはIvanovaの私室を訪れる。 彼女は今夜も眠れずに、酒をあおっていた。 Lytaは彼女に、WhiteStarでZ'ha'dumへSheridanを探しに行く事を提案する。 Lytaが数分なら彼女のテレパシー能力でShadowの探査から船をブロックできるし、 Sheridanの中にはKoshの一部が宿っているため、生きていれば彼女に判るはず、 と説明するのを聞いて、IvanovaはDelennに連絡を取った。

Delenn, Ivanova, LytaとLennierはWhiteStarでZ'ha'dumへ向かった。 ジャンプポイントから出て直ちに捜索を開始するが、 Sheridanのリンク周波数での呼びかけにも、Lytaのテレパシーにも何の反応もない。 テレパシーブロックをかけている間、Lytaの目は全てが黒目になった状態に変わっていた。 数分後にShadowは船の存在に気づき、宇宙空間にShadowの目のような輝きが現れた。 それはIvanovaがGreat Mathineに入ってFirst Oneたちを探したときに 見た物と同じで、 彼女らの心にそれぞれの父親の声で呼びかけ、引き寄せようとする。 Delennはそれを「無限の悲しみに満ちている」と形容した。 三人がShadowの目の呼びかけに屈服しかけたとき、 WhiteStarは自動的に後退し、ジャンプポイントから脱出した。 それはLennierが攻撃を予測して予め仕掛けておいたプログラムによるものだった。 彼らは無事にZ'ha'dumから帰還したが、 Sheridanの死を受け入れざるを得なくなった。

LondoはCentauri本星にVirを呼び寄せた。 彼の到着後Londoは部屋に盗聴器がない事を確認してから、 Cartagia皇帝がShadowを呼び寄せて神になろうとしている事をVirに知らせた。 そして二人で力を合わせてShadowを追い出して国を救わなくてはならない、 そのために狂気の皇帝を暗殺しなくてはいけない、と彼に告げる。

Babylon5に戻ったIvanovaは私的記録を口述していた。 その中で彼女は、 「司令官の死を受け入れ、彼の意思を継がねばならない、行くべき場所は判っている」 と述べた。

そのころZ'ha'dumの地下では、ぼろに包まったSheridanが焚き火に当たっていた。 そこに謎の異星人が現れる。 そして彼の「なぜ私は生きているのか?」という問に、「それが問題だな」と答えた。


印象に残ったシーン、台詞

非同盟惑星の大使たちとの会合で、Ivanovaは始めから喧嘩腰だった。 「こっちは司令官の安否に心を痛めているのにこいつらときたら全く...」 といった気持ちだろうか。
一方Delennは始めは何とか話し合いをしようと努力していたが、 Gaimの大使に「彼(Sheridan)は死んでいる」と言われて 冷静さを失ってしまった。 最も認めたくない事実を突きつけられたので、 あのような反応になったのだろう。

WhiteStarのブリッジで三人の女性が立ちつくすシーンは印象的。 三人ともSheridanの安否に心を奪われている。 Lennierの冷静な準備がなかったら、Z'ha'dumから生きて帰れなかったろう。


Memo

MordenのSheridanについての発言はどういう意味だろう。 「どのSheridan?」というのは、JohnとAnnaの二人居る、という意味か? 単なる戯言の可能性もあるが。

LondoがShadowとのパイプ役を引き継ぐ事になると言う事は、 彼が例の"Keeper"を 取り付けられるということだろうか? Mordenもまた、Keeperをつけられているのだろうか?

Z'ha'dumでのShadowの目の正体は何か? 父親の声で話し掛けてきたというのは、KoshがSheridanやG'Karにやったのと同じで、 VorlonとShadowとが実は表裏一体である可能性を示唆している。 「無限の悲しみに満ちている」とは、何を意味するのか?

本来のWhiteStarは前回破壊されたが、 同型艦にその名前はすぐに引き継がれたらしい。

"The Hour of the Wolf"とはいわゆる丑三つ時で、 夜明け前の最も闇が深く、全ての希望が失われたかに見える時刻を指す。 同時に、やがて新たな希望の光が生まれる事も示唆している。

IvonovaたちがZ'ha'dumから引き換えすシーンで、彼女の胸元の階級証がアップになる。 その直後、惑星の地下でぼろをまとった人物がうごめき、 足元に同じタイプの階級証が落ちる。 これによって、その人物がSheridanである事を示している。
なお、Sheridanの階級証は金色一色、Ivanovaは金と銀であった。

KoshがVorlon本星と話し合っていた内容は、恐らくPlanet Killerを Shadowになびいた惑星に送り込む件だろう。 それがまた、Lytaが感じた「暗いもの」だろう。

庭園でのKoshとの会見シーンは、 Delennが初めてVorlonの価値観に疑問をもった瞬間ではないだろうか。
またこの会見において、Delennは新Koshと旧Koshとを同一人物のように扱って 話している。 この場面では事情を知っているLytaしかその場に居ないのだから、 旧Koshの死を隠している訳ではない。 従ってDelennは両Koshが実際にある意味同一の人格であると考えている事になる。 この事は「我々は皆Kosh」という発言 の真意について彼女が何か知っている事を意味しているのだろうか?

この点は、翻訳の問題の可能性がある。 Delennが新Koshに言った言った言葉の中で「あなた」(you)というのは、 「あなた方Vorlon人」という意味で捉えるべきかもしれない。

新Kosh(Ulkesh)の「彼(Sheridan)は予期せぬ扉を開けてしまった」 という言葉は、Z'ha'dumの地下施設にあった ドアを連想させる。 あのドアの向こうには何があったのだろう。 ただ、今回のUlkeshの言葉の意味は、 SheridanがVorlonの思惑に反する行動を取ってしまった結果、 一人で死地であるZ'ha'dumへ向かってしまった、 従って彼の運命はもはや自分たちの関知する所ではない」 といった感じだろう。

Ivanovaが言った、「行くべき場所」とは、 Sigma957の事だろうか?

WhiteStarのブリッジでの会話で、IvanovaがDelennに対して敬称抜きで呼びかけている。 ただし彼女の場合、Delennの変身直後に 髪の処理を相談されて以来かなり私的にも親しいようなので、 普段から二人だけの場ではこのように話しているのかもしれない。


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